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聞かせてくれ、
命の調べを
エンキによる遺伝子操作により、下等な霊長類から人類が誕生した。そして人類は神々のために汗を流し、アフリカの地で鉱物資源の採取に勤しんだ。しかし当初の人類には繁殖能力はなく、都度、霊長類への遺伝子操作により人類が創造されていた。これではあまりにも効率が悪い。そこでエンキは、禁断の手に打って出る。人類に、生殖能力を授けたのである。これが旧約聖書に書かれた、「 エデンの知恵の樹の実 」である。それを食べたイヴが裸を恥じるようになるという記述は、すなわち、人類が生殖能力を得たことの比喩表現に他ならないのだ。
遺伝子操作
古代神話に頻繁に登場するのが、この「混血」である。言うまでもなくそれは「人類」と「神々」との混血である。古代史に名を残す王の多くも、この混血であった。彼ら混血は、神の特徴――すなわち卓越した頭脳に運動能力、そして人類をはるかに凌駕する寿命を誇っていた。 ネフィリムと呼ばれたその混血たちは増え続け、この地は彼らであふれ返った。美しい人間の娘たちに現を抜かした神々が、その精子をだらしなくまき散らした結果である。そして神々とその能力に大差のないネフィリムたちは、次第に神々に抗うようになる。いよいよ手に負えなくなった神々は、あることを画策する。大洪水である。この地からネフィリムを一掃するのが、その目的であった。そしてそれ以来、神々は人類の前から忽然とその姿を消した。
混血
もしも
では、神々はどこへ消えてしまったのか? 故郷の星、ニビルへ帰ってしまったのか? そうかもしれない。しかしもし彼らが未だにこの地に残っていたとしたら……
そして
聞かせてくれ、
命の調べを
本著は、その「もしも」が現実であったことを前提とした物語である。アヌンナキたちは、未だにこの地上に残っていた。そして際限なく増え続け、貴重な資源を枯渇に追いやろうとしている人類に、いよいよ我慢ならなくなった。
しかし。彼だけはそうは思っていなかった。人類の生みの親、そしてかつて洪水から人類を救った神、そう、エンキである。物語は、そのエンキがアヌンナキたちと戦うために、一人の戦士を生み出すことから始まる。人間社会に愛想をつかし、自らの命を絶った一人の青年。エンキの手によって冷酷な戦士として甦った青年が、想像を絶するほどに奇怪で、そして壮大なドラマに巻き込まれていく。そして彼は、一度は枯れ果てたその心に、ある懐かしい調べを奏で始める――
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