top of page

聞かせてくれ、

命の調べを

  • Facebook Social Icon
  • Twitter Social Icon
  • Instagram Social Icon

アヌンナキ ――この言葉を聞かれたことはあるだろうか? 古代 シュメール や アッカド の神話に登場する神々の総称である。そしてその頂点に君臨する神が、かの有名な アヌ である。彼らアヌンナキはまた、人類の創造主でもある

人類の創造主

エンキによる遺伝子操作により、下等な霊長類から人類が誕生した。そして人類は神々のために汗を流し、アフリカの地で鉱物資源の採取に勤しんだ。しかし当初の人類には繁殖能力はなく、都度、霊長類への遺伝子操作により人類が創造されていた。これではあまりにも効率が悪い。そこでエンキは、禁断の手に打って出る。人類に、生殖能力を授けたのである。これが旧約聖書に書かれた、「 エデンの知恵の樹の実 」である。それを食べたイヴが裸を恥じるようになるという記述は、すなわち、人類が生殖能力を得たことの比喩表現に他ならないのだ。

遺伝子操作

人類を創造したのは、アヌンナキの中の一人の神、 エンキ とされる。そして大洪水から人類を守ったのも、また彼である。その彼が人類を創造した理由、それは労働力の確保であった。異星『ニビル』からこの地球にやってきたアヌンナキたちの目的、それは鉱物資源の確保であった。最初は自ら汗を流していた彼らも、その過酷な労働に音をあげ始める。そこでエンキが目を付けたのが、地上を駆け回る下等な 霊長類 であった。

労働力としての人類

古代神話に頻繁に登場するのが、この「混血」である。言うまでもなくそれは「人類」と「神々」との混血である。古代史に名を残す王の多くも、この混血であった。彼ら混血は、神の特徴――すなわち卓越した頭脳に運動能力、そして人類をはるかに凌駕する寿命を誇っていた。 ネフィリムと呼ばれたその混血たちは増え続け、この地は彼らであふれ返った。美しい人間の娘たちに現を抜かした神々が、その精子をだらしなくまき散らした結果である。そして神々とその能力に大差のないネフィリムたちは、次第に神々に抗うようになる。いよいよ手に負えなくなった神々は、あることを画策する。大洪水である。この地からネフィリムを一掃するのが、その目的であった。そしてそれ以来、神々は人類の前から忽然とその姿を消した。

混血

もしも

では、神々はどこへ消えてしまったのか? 故郷の星、ニビルへ帰ってしまったのか? そうかもしれない。しかしもし彼らが未だにこの地に残っていたとしたら……

そして

聞かせてくれ、

命の調べを

本著は、その「もしも」が現実であったことを前提とした物語である。アヌンナキたちは、未だにこの地上に残っていた。そして際限なく増え続け、貴重な資源を枯渇に追いやろうとしている人類に、いよいよ我慢ならなくなった。 
しかし。彼だけはそうは思っていなかった。人類の生みの親、そしてかつて洪水から人類を救った神、そう、エンキである。物語は、そのエンキがアヌンナキたちと戦うために、一人の戦士を生み出すことから始まる。人間社会に愛想をつかし、自らの命を絶った一人の青年。エンキの手によって冷酷な戦士として甦った青年が、想像を絶するほどに奇怪で、そして壮大なドラマに巻き込まれていく。そして彼は、一度は枯れ果てたその心に、ある懐かしい調べを奏で始める――

bottom of page